令和8年まで巡回予定の「九谷赤絵の極致―宮本屋窯と飯田屋八郎右衛門の世界」。2月23日までは愛知県瀬戸市の瀬戸美術館で開催されているということで、新幹線に乗ってやって参りました。
名古屋到着からきしめん食べたり瀬戸の街を歩いたりは前記事でご紹介しています。
さて今回の九谷赤絵展は、1859年まで九谷焼を製造していた宮本屋窯と、その主画工である飯田屋八郎右衛門にスポットをあてたもの。
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九谷焼(古九谷)は江戸前期に製造されていたものの一度途絶えてしまい、その後江戸後期に再興されました。
(ちなみにこの古九谷、生産地は九谷か有田かという熱い論争があるのですが、こちら↓が詳しいのでぜひご覧ください)
その再興された九谷焼の代表スタイルである赤絵を大成させたのが、宮本屋窯であるといわれています。
右を見ても左を見ても宮本屋窯という桃源郷。さっそくその一部をご紹介しますね。
緻密にして絢爛 飯田八郎右衛門と「方氏墨譜」
宮本屋窯の赤絵の特徴は、「血赤」と呼ばれるこの深い赤色。
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宮本屋窯には余白を文様で埋め尽くす緻密な作品や、金彩を施した豪華絢爛な「赤絵金襴手」が多いのですが、この深い赤によってくどくなく、ゴテゴテしないバランスが保たれています。
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また、絵付のモチーフを「方氏墨譜」から取っていることも特徴です。
「方氏墨譜」とは、中国・明時代の墨匠 方于魯が記した墨の図案集。飯田屋八郎右衛門は方氏墨譜の図案を模写し、宮本屋窯の作品に多く取り入れました。
たとえばこちらの「八柱承天図鉦鉢」の見込は、方氏墨譜の第2巻「八柱承天」を取り入れています。
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飯田屋八郎右衛門も「八郎墨譜」という図案集を描き残しており、多くの作品のデザインに反映されました。
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こちらの「丸抜獅子人物に龍図芋頭形急須」のデザインも八郎墨譜から取られたもの。上部に雷文(四角いぐるぐる)が入っていますが、宮本屋窯の作品にこの文が入るのは珍しいことだそうです。
赤を基調にアクセントを施す、五彩といえる美しさ
九谷「赤絵」というからには、もちろん赤を基調として絵付を施すわけですが、こちらの見込の牡丹には緑や黄も施されており、赤い花の美しさを引き立てています。
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赤だけでなく緑や黄、紫など「九谷五彩」の色を使い、赤絵ながら五彩ともいえる作品が多いことも宮本屋窯の特長だそうです。
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鉢から茶器、酒器など豊富なバリエーション
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宮本屋窯の作品でもっとも多いのは鉢だそう。しかしそのバリエーションは平鉢、輪花鉢、六稜形鉢と非常に多くあります。
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その他、徳利や蓋物、急須なども・・・多種多様な作品から、非常に広い作風を持っていたことがわかりました。
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下の画像は筆を入れるための「筆筒」。私、筆を入れるための焼きものって初めて見ました。
こういった文房具は、江戸後期の風雅な文人趣味を反映して作られたものだそうです。
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このように、宮本屋窯の作品をお腹いっぱい堪能できる「九谷赤絵の極致―宮本屋窯と飯田屋八郎右衛門の世界」。写真を撮れる作品が多い点も嬉しかったです!
重ねますが、愛知県瀬戸市美術館で2月23日まで開催された後は、広島展、志賀展、石川展と令和8年まで巡回していく予定の展示です。
絶対行った方がいい。損はさせません!ぜひ、お時間をつくって訪問してくださいね。
アクセス
公式サイト
おまけ トランシルヴァニア料理のお店 ナトゥール・ビュフェー
瀬戸市美術館のお隣りには「瀬戸市文化センター」があり、館内にはトランシルヴァニア料理のお店「ナトゥール・ビュフェー」があります。
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弾丸日帰りだったので店内で食事はできませんでしたが、店頭にあったお菓子を購入しました。
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「瀬戸の桜のメーゼシュカラーチ」と「ケメーニェシュ ショーシュ シュティ」です。
メーゼシュカラーチは瀬戸市の桜のはちみつを使っているそう。「サクっ」と「ふかっ」の間くらいの食感で、シナモンやクローブの風味が漂う優しい甘さのビスケット?となっています。
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ケメーニェシュ ショーシュ シュティは塩味の効いたスコーンのようで、キャラウェイシードの風味が紅茶に合い、しっかり軽食を摂ったような満足感。私これ大好きです。
アクセス
食べログ
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おまけのおまけ 新幹線の遅延に巻き込まれなかった謎
この日は京都方面で雪が降っていたので、東京→名古屋はそこまで遅延がなかったのですが、名古屋→東京は大混乱。大阪・京都方面から新幹線が来ないんです。
新幹線改札の電光掲示板も1時間半以上遅延する便の情報で埋まっており、私たちが乗る新幹線の状況を表示するスペースがありません。
とすると、遅延便が全部ハケなければ私たちの新幹線も来ないはずですよね?
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ところがどっこい、JR東海のHPにある「個別列車案内」(新幹線ごとにリアルタイムでどこを走っているかわかるページ)では、私たちの新幹線は15分遅れで来るとあります。
なにを信じればいいか分からなくなり駅員さんに聞くと「来ますね」というお答えだったので、ホームに上がるとなんと本当に15分遅れで来ました。
そういうわけで、同じ新大阪発の便が1時間半遅れているのを尻目に、帰ってこれてしまったのです。
・・・帰ってこれたのは良かったですよ。JR東海さんありがとうございました。でも、この仕組みがいまでもさっぱり分かりません!