【ジグソーマン ゴード・ロロ】の読了後にもれるなんとも言えないため息

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小説・エッセイ
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この本を読み終わったとき、ただただため息が出ました。面白かったとか傑作だというより、ただ「はぁー・・・」という反応。まず感想ではなくて反応が残る本でした。

なんだろう、本が進むほどにひどい状態になっていく主人公をもう見なくても済むため息というか、それなりに溜飲が下がった安堵のため息というか、伏線を最後の最後で回収した、とにかく綺麗な終わり方へのため息というか。

また、ストーリーの展開も最初から最後まで緊迫感があるんですけど、ラストも、最後の一行まで、終わりの余韻に交えながらちゃんと緊迫感がある。その緊迫感から解放されたため息だったのかもしれません。

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あらすじ

交通事故で妻と息子を失い、ショックで無職のアル中になって娘にも去られたマイケルは、ホームレスとしての生活に疲れ、貨物列車に飛び込んで自殺しようとしていた。

そこへ、高級車に乗ったマッチョの男、ドレイクが現れ、自分の雇い主であるマーシャル博士のために右腕を提供しないかと持ちかけられる。値段はなんと200万ドル。

右腕がないのは不便だけど、それだけのお金があれば娘と一緒に暮らせるかもしれない!俺、左利きだし!尻が痒いときは尻かき係を雇えばいいじゃん!

ということで付いていってしまうマイケル。

約束の日、待ち合わせ場所に着いたマイケルは、自分の他にもパーツの売り手がいて、それぞれが左腕、右足、左足を売ることになっているのを知る。

正気の沙汰ではない話にマイケルは不安になってくるが、マーシャル博士の最新鋭の研究施設でプレゼンを受け、これが科学の発展に非常な貢献をする実験に使われると知る。

しかも、売った手足は生まれた時から寝たきりのマーシャル博士の息子、アンドルーのために使われ、成功すれば彼は歩けるようになるのだ。

そう!これは人助けなんです!

人助けをし、ヒーローになり、しかも大金持ちになれる!マイケルたちは喜んで契約書にサインし、研究施設で贅沢なもてなしを受け、手術の日を待つ。

ある日、ちょっと暇だったマイケルは、いつも寝ていて会えないアンドルーの顔を見にいってみることにした。ところが、アンドルーだと紹介されていた寝たきりの人は、なんとただのマネキンだったのだ。

慌てて施設から脱走しようとするマイケル。しかし捕まるマイケル。

意識を失わされ、次に目覚めた時、彼の腕はすでに失われていた。両腕とも。

うまい話にゃウラがある

なんというか、話が展開していくたびに思うのです。これ以上ひどい目はもうないだろうと。

でもその時点で本が三分の一だったり半分だったりする恐ろしさ。

右腕を失うはずだったのに両腕がなくなった時点で、「これ、これ以上ひどい目に遭うとしたら四肢だな。四肢バラバラだから【ジグソーマン】かー・・・」くらいの予想はするんですけど、四肢どころじゃない。

人間の身体にそこまでする?!そこまで思いつく?!

という展開なのです。

また、主人公が受難に遭う直前「あなたは今からこういう目に遭いますよ」ということを、他の登場人物から伝えられたり、目撃した光景から読み取るので読者も覚悟をするんですが、実際に起こることはいつもそれよりひどいのw

ネタバレしないようにどうにか説明すると、意識を保ったまま、ちゃんとしたテクノロジーなしの環境で、マトリックスの現実側の人生を生きていくことになったらゾッとしますよね。

でもその時点でこの本、まだ中盤だから!

確かにスティーブン・キングみたいな「痛い描写がないのに心が震え上がる」上品なホラーではない、いや、はっきりいってグロです。でも、目が釘付けになるようなハラハラ展開と、潔く終わるラストが美しいおすすめ小説でした。

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