「僕、死んじゃうんですねぇ・・・・・・」
「俺だって死ぬよ」「ここで死神から残念なお知らせです」 榎田ユウリ 新潮文庫(2015) 250頁
やりたいことをダラダラ先伸ばしてしまうなら読むべし!
「人は死ぬ 絶対死ぬ 必ず死ぬ」と言ったのは誰だったか
彼の教えの他の部分はともかく、このことだけは確実なる真実である
自分がいつか死ぬことは、人間なら誰もがよく知っている
それまでにやりたいこと、生み出したいものがありながら、しかしなかなか手をつけられずに時間が過ぎていく
いつか終わりが来ることをちゃんと知っているのに、その時が昨日より確実に迫っているのに、できないのだ
いずれ必ず死ぬことを知っていながら、死はどこか、自分のことではないようなぼんやりしたイメージになっている
心から「必ず死ぬ」ことを理解したければ、死にかけるしかない
死が本当に肌にまで迫り、そこからかろうじて逃げ延びたショックが原動力なら、人はきっと本気に(少なくともしばらくは)なれるだろう
しかし、この文庫を最初から読めば、219ページあたりで「死にかけるショック」の疑似体験ができる
「今日はだるいから明日でいいや」
「痛いのは嫌だけど死ぬのは別にいいよ」
とうそぶく日常意識が、本当に死が迫るとどう変わるのか
登場人物に起こる他人事ではなく、まるで自分の最期が来たように「なんとか助かりたい!」とあがきたくなる
時間が増えることは決してない
死への危機感がどうしてもぼんやりしてしまい、漫然とした先延ばし癖にショックを与えたいなら、まずはこの本をおすすめする
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