軟弱男の逃亡劇にイライラ!【赤毛の男の妻 B.S.バリンジャー】

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小説・エッセイ
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「なんやて?!」

この本の感想はこれがすべてです。

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あらすじ

脱獄して昔の妻に会いに来たローハン(ビビりな男。たまに第六感を発揮)。昔の妻マーセデス(元大会社の副部長。デキル女)。そしてそのマーセデスと現在結婚しているイヤな男ターナー(イヤな男)

もちろん二人の男が仲良くできるはずもなく、ローハンはターナーを殺してしまいます。

このローハンとマーセデスがアメリカ中を逃げ回り、事件の担当になった刑事が追い掛け回すというのがストーリーなのですが、結局読み終わった感想は冒頭の通り、まるで一つの漫画が打ち切りになったかの如き衝撃、茫然自失時間を返せ

まず本の内容を楽しむ前に気になって気になって仕方がない部分があります。ローハンが読者をイライラさせる

このローハン、ビビり、死ぬ死ぬ詐欺、責任転嫁、自分でものを決めない、計画性がない等まっっったく頼りにならず(お前の犯した犯罪だろが!!)、逃亡計画のすべてはマーセデスのアイデアと行動力によって進行していきます。

確かに本のタイトル通り、赤毛の男は全く主役ではなく、主役は妻の方ですね。

もう最高にイライラしたのが、「殺しに使った銃はアシがつくから捨てたら?」とマーセデスが勧めるにも関わらず、

「この銃はもう僕の友達のようなものだから捨てたくない」

とかグズグズ言うあのシーン!!

友達ってなんじゃ!!!ドアホウが!!!

だいたいそもそも脱獄した分際で罪を重ねるというのがもうなんなの?バカすぎる。しかもコイツ大事な時に熱を出す!!

もう思い返してのイライラでキータッチもミス連発です。

ところが偉いのはマーセデス。

まったく頼りにならない上にグズグズローテンションなローハンを励ましつつ、逃亡計画を立てつつ、お金もすべて出して、危ない橋も自分で渡ります。

私だったら本の三分の一くらいの時点で間違いなくぶん殴ってますが、彼女は彼に一度も、一度もイライラしないのです。愛ってスゲェ!

まぁローハンは本の最後でそれなりの結末を迎えるわけですが、マーセデスは最後まで偉いの。とにかくローハンのことを考えてるの。

そして、ここ大事ですよ、最後の最後は追い掛け回した刑事の方がすべてを持っていきます。

そもそもなんでこの本を読むことになったかというと、先日読んで感動した殊能将之氏の【ハサミ男】の関連記事をネットであさっていたら、「叙述トリックなら【赤毛の男の妻】もオススメ!」という一言があったからなのです。オススメしたやつ出てこい!!!

それで、この結末の刑事の一言が、この本の叙述トリックのネタバレになる部分なのですが、これ、これいらないでしょ。

これが通るんなら、ラストを【そして彼は宇宙船で去って行った】とか、【彼女は指が六本ある手を差し出した】とか、【何てことだここは地球だったんだ!】とかでもいいわけじゃん?!

【ハサミ男】のトリックは、明かされた時点でストーリー全般にわたる「○○なのはなぜだろう」の謎が明かされるからこそトリックとしての必要性があるけど、これはいったいなんなのさ?!

わからな過ぎててっきり、【二人の幸せを壊してしまった自分の一種の罪深い立場を卑下して、その当時蔑まれていた○○に皮肉として例えた】とかあさってな深読みしちゃったじゃん。

納得いかないままウェブをあさり、最後のアレが比喩でもなんでもなかったことに愕然とし、二度「なんやて?!」となる私なのでした。

(※旧ブログからの移行記事です)

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